市場の問題解決事例:Udacity
オンラインで何かを学ぶのは、今ではすっかり当然のこと。趣味として、キャリアアップへのステップストーンとして。スナック的な一口サイズのものから学位を取得するものまで、ニーズに合わせて様々です。
寿命が延び、会社の雇用形態が多様化し、様々なテクノロジーの進歩とグローバル化。学位も依然大切ですが、自らの生涯教育についても計画していかなければなりません。
そんな課題を解決してくれるMOOC。
Udacity(ユーダシティ)の生い立ち
例えば、無料じゃないですがUdacity(ユーダシティ)。
ドイツ出身のAIエンジニアで、Googleに勤務したのちスタンフォード大学のAIラボの所長となったセバスチャン・スランが、2012年に創立したオンラインスクール。当時AIを教えていたセバスチャンは、来たる将来に向けもっと多くの人がAIを学ぶべきだと、スタンフォードの学長に相談したそう。最初は「我々はスタンフォードだ。一般の誰にでも授業をするわけではない」という様な理由で、相手にはしてもらえませんでした。
しかし、セバスチャンは諦めませんでした。幾度にもわたるミーティングと、時代の変化も手伝って、とうとうUdacityがスタートすることになったのです。
スタンフォードの学生がトップだとは限らない
面白いのはここからです。
スタンフォードと言えば、エリート教育。そうしてスタンフォードで学ぶ学生と、Udacityのコースを取った世界中の学生をテストした結果、スタンフォードの学生は・・・。
413番目。(英語の記事)
Udacityで学べば、例えばGoogleのエントリーレベルのエンジニアとして実務ができるレベルにすることが目標だそうで、彼らが呼ぶナノデグリー(修了資格)を取得すれば、面接なしで採用するインドの会社もあるんだそうです。
Udacityから学べること
いったいUdacityがしたことは、なんなのでしょうか。
それは、市場の変化に合わせ、新事業を創出し、新規顧客を獲得したことに他なりません。それも、スタンフォードレベルの教育が保証できることを数字で示し、顧客である学生の信頼だけでなく、その先の顧客である学生の将来の雇い主へのお墨付きとしたのです。
今回はカリフォルニアに渡ったドイツ人の軌跡を取り上げてみました。Udacity自体はオンラインであるものの、製品的イノベーションというよりは、戦略上のイノベーションであると言えるでしょう。
市場が刻々と変化する中でどの様な戦略を取るか。突拍子もなく見える戦略は、既存の事業との比較の中で最初は必ずといっていいほど却下されます。
諦めず、根気よく提案し続けることが成功への道でもあります。
CROSSBIEではベルリンのスタートアップエコシステムと日本をつなぐコンサルテーション、アクセラレーションを行っております。ベルリンに進出をお考えのスタートアップの方、オープンイノベーションにご興味がある企業様、ベルリンで投資の機会をお考え中の投資家の方は、こちらからご連絡下さい。