IFA2019:日本のスタートアップの挑戦
世界最大規模のコンシューマーエレクトロニクス展示会「IFA」が、ベルリンで開催されました。CeBITなど大型の展示会がクローズする中、IFAも単なるコンシューマグッズの商談イベントからの脱却を目指し、スタートアップなど新しい技術にフォーカスしたエリアも登場しています。今年、「IFA NEXTエリア」では初めてパートナー国を募集し、日本が見事にその地位を獲得しました。
私も当時JETROの現地パートナーとして、日本パビリオンに出展したJ-Startupをはじめとする各社スタートアップのサポートに当たりました。今回の出展は20社。国際展示会への出展ということもあり、ステージ的にも実力が認められているスタートアップの参加となりました。
日本のスタートアップの技術レベル
今回の目玉、日本のスタートアップが希望する大手ビジネスーパートナーとのマッチング。ジャパンパビリオンを訪れたメディアは、全般的な技術力の高さはもちろん、日本ならではの「ハーモニー」を鑑みた製品ソリューションを評価していた様子。
日本のスタートアップのピッチレベル
IFA NEXTでは、開催期間中6日間に渡り、テーマ毎にスタートアップピッチがありました。ピッチに登壇するためには審査があり、世界中のスタートアップがピッチを行います。
もちろん日本勢も参加。持ち時間は5分。
そして日本勢はなんと、そのうちの3日でそれぞれ優勝したのです。
1日目:Digital Health (トリプルWジャパン)*
2日目:Tech for Good — Social Entrepreneurship
3日目:AI (Empath) ✳︎
4日目: IoT/Wearables/FitTech
5日目:Smart Living (mui Lab) ✳︎
6日目:Future Mobility
*はカテゴリー優勝スタートアップ。
それぞれにピッチスタイルは違いました。
製品の説明など上手くまとまって分かりやすい印象だったトリプルWジャパン。数字の落とし方や有力提携アクセラレーターが勢揃いしてスタートアップとしての強さが見えたEmpath。「無為」という概念から生まれたmuiのプレゼンは、なんと目をつぶって瞑想からスタート。
ピッチはもちろん実際のビジネスとは別物ではあるのですが、勝った3社のプレゼンは、⑴どういう問題を解決するのかという点がとても明確であったことと、⑵この会社ならできるというリアリティが感じられる、説得力のあるものだったところが共通点でした。
日本のスタートアップのビジネスコミュニケーション力
技術やユースケースなど、お互いにとってWin-Winとなるソリューションなのかを見極めるのに必要なのが、ビジネス上でのコミュニケーション力。実際のビジネスに繋がるかどうかは、ここにかかっています。
ここがしっかりしているスタートアップは、正直少数であったと思います。一般的に、全てのスタートアップは技術の説明に長けています。一方で、マッチング相手からのフィードバックでは「ビジネスパートナーになりたい相手企業の問題の把握を」という意見が少なからずありました。こういった点は、しっかり時間を使えば解決できる問題です。自社で人材がいない場合は、現地情報などにたけたコンサルタントに外注する方法もあります。