日本のスタートアップが海外展開で成功するために

team.jpeg

ベルリン経産省が、5月半ば毎年恒例の「アジア・パシフィック・ウィーク」という、アジアとベルリンを繋ぐスタートアップ向けのカンファレンスを主催します。ベルリン経産省よりカンファレンスの一部を引き受け他関係で、2019年は「スタートアップ・ストーリーズ」と題してますます存在感を増すアジアのエコシステムで活躍するスタートアップを取り上げます。

今回は主催者側から見える「アジアにおける日本の存在感」について書いてみます。

ベルリンとアジア

ドイツの首都ベルリンは、ドイツの中でも特別な街です。政治の中心地であるのはもちろん、人口の2割近くは外国人。その国籍も190カ国に及びます。

スタートアップの創業者や従業員がドイツ語を話さないことは日常。共通語は英語です。それもみんなにとって第二ヶ国語である英語。大切なのは英語の上手さでなく、実際に何ができてどうコミュニケーションできるか。第二言語であるからこそ質実剛健なコミュニケーションになることは、スピード感が必要なスタートアップにとって、有利に働いているようにすら伺えます。

中国・東南アジア・インド・日本

ベルリン経産省は、今年北京にオフィスを開き駐在員を派遣しました。ヨーロッパMBAランキングのトップに上がるベルリンのESMTでは、中国プログラムで欧米人に中国ビジネス教育をする一方、中国からも多数の生徒を受け入れ、これによって欧州と中国のクロスポリネーションが確固たるものとなってきています。中国企業に特化したアクセラレーターもすでに数社あります。さらに、スタートアップといえば理系中心感が否めない中、ベルリン自由大学の中国語学科を筆頭に、中国の情報のマイニングスタートアップなど文系も活躍中です。

それに続く形で注目されているのが東南アジア経済圏。スタートアップブームと消費力のアップは「まるで10年前の中国」と言われ、ユニコーンも8社を超えています。近い将来世界で5位の経済圏になると予測されてるシンガポール、インドネシア、タイ、ベトナムなど東南アジア10カ国。ベルリンのスタートアップも東南アジアに進出しはじめており、文化やビジネスでの融合が始まっています。

インドは今年ベルリン経産省が注力している国の一つ。すでに世界トップ10に入るバンガロアを持ち英語が共通語で世界トップクラスのエンジニアを生みだすインドでは、これから女性起業家の活躍にも期待が集まります。

それらに比べるとベルリンにおける日本は、とても控え目であるといえます。以前書いたような大手の投資は数件ありますが、個人的に活躍する日本人はいるものの、まだまだ「日本勢」とくくれるほどの存在感はありません。

日本のスタートアップが海外で成功するために必要なこと

とはいうものの、ここ数ヶ月で日本からベルリンに視察にいらっしゃる企業の目的や質問の質などはガラッと変わってきています。これから変わっていく、そんな手応えを感じています。日本のスタートアップが海外に進出するために必要と思われることを3つ書いてみます。

1) 初めから国際的なチームになる

同じチームに海外にフットプリントのあるメンバーがいることは、海外展開への大きな一歩となります。全ての業務が英語でなくても良いですが、海外からのメンバーを受け入れられる体制でスタートするくらいが良いと思います。

2) 現地駐在員の必要性

海外のエコシステムにとって優良スタートアップが進出してくれることは、エコシステムの活性化につながります。ベルリン州では、税制上はあまり優遇がないのですが、メンター制度から大卒エンジニアの初年度給与の半額負担など、様々なサポートがあります。仕事で日常使用する言語は英語ですし、正直日本から進出しようと思えばできるでしょう。

ただしそれには、ベルリンであればベルリンに、ビジネスデベロップメントなどの担当者を置く必要があります。ベルリンに限って言えば、担当者がいればエコシステムに入っていくのは比較的容易です。メンターや次に繋げてくれるサポーターに会いやすく、こちらのアクセラレーターに入ってネットワークを広げたり、直接PoCなど商談も行うことができます。

3) ピッチを仕上げる!

そして機会がきたらものにできるように、しっかりピッチをマスターしましょう。


CROSSBIEではベルリンのスタートアップエコシステムと日本をつなぐコンサルテーション、アクセラレーションを行っております。ベルリンに進出をお考えのスタートアップの方、オープンイノベーションにご興味がある企業様、ベルリンで投資の機会をお考え中の投資家の方は、こちらからご連絡下さい。

Previous
Previous

IFA2019:日本のスタートアップの挑戦

Next
Next

2019年:ベルリンのスタートアップ関連のイベント